【NHK参考記事】
インド政府はことし8月に自治権を撤廃したカシミール地方の州について統治を強化するため、31日から政府の直轄地にしました。モディ首相は演説でその意義を強調しましたが、現地のイスラム教徒や領有権を争うパキスタンからの反発が強まることは避けられない見通しです。
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日本人にとっては、わかりにくいカシミールをめぐる両国の対立だが、
両国の人と日常触れることが多かった私にとっては、
どちらの見方が正しいのか、いつも迷うことが多かった。

この問題について、調べてみたことのある私にとっては、
政治的な正しさとしては、どちらが正しいのかというと、
双方に軍配が上がるかというややこしい状況なのだ。

まずはパキスタン側から言うと、
住民の7割近くがムスリムであり、パキスタンへの併合、もしくは独立が正義であると。
たしかに、インド軍・警察による分離・独立運動に対する抑圧があり、
経済発展の恩恵を住民たちが十二分に受け取っていない現状では、
住民投票を行った場合、インドから離れることになるのは、ほぼ確実だと言われている。

しかし、インド側の理屈としては、こうである。
「1947年のインド・パキスタン分離独立の際、インド・パキスタンのどちらに属するのか、
 当時は、カシミールを支配していた藩王(マハラジャ)に決定権が委ねられてた。
 しかし、パキスタンが武力介入し、それに反発した藩王は、インドを選んだのだ。」

ただ、藩王は、ヒンドゥー教徒だったため、その決定の正当性に疑問を持たれてもいる。
 
ここで、対立するのは、カシミールをめぐる2つの視点である。
①住民の意思に正当性があるのか、②当時の手続きに正当性があるのか、である。

インドとしては、パキスタンの領域も含む「統一インド」がありうべき姿で、
特にカシミールは、ヒンドゥー教・仏教の巡礼地を多く抱えている。
またカシミール美人は、インドの美人の代表格で、インド映画の象徴ともいわれている。

パキスタンは、インド全土で迫害を受けてきたムスリムが安心して暮らせる国家として
建国されたと言う理念から、住民の7割がイスラム教徒であれば、
当然パキスタンに帰属すべきと考えている。
(ちなみにムスリムの人口はインド全体でも10年で約1%ずつ増加中だ)

平行線をたどるインドとパキスタンのはざまに位置するカシミール。
全員が納得する未来は、当分見えてきそうにない。